第1章 そんな出会いだった
ジョエル・ライツ・スブレイズ・ゴールドリーフ。
彼女はゴールドリーフ領を治めるスブレイズ公爵家の長女である。
背中の中ほどまである絹糸のような黒髪をいつもきっちりと縦巻きに整え、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる抜群のプロポーションを見せ付けるべく、胸元の開いたぴっちりとしたドレスを身にまとっている。
涼しげな目元には一つ、泣きボクロがある。
まるで彼女の色気を引き立たせるためだけに存在しているかのようなそれを真似する女性も少なくはないという。
そして幼い頃より貴族としての教育を受けてきた彼女の立ち居振る舞いは上品で、社交場ではダンスの相手が途切れない。
皆が憧れる高嶺の花。
彼女はまさにそんな存在であった。