第2章 シュタイン
「アル」
「ゼノ様お任せ下さい」
アルバートは男を追い森の入口へと向かって行く
「萩ちゃん!!」
倒れた萩を抱き起すと
胸に刺さったはずのナイフが転げ落ちる
「これは.....」
うっすらと目を開けユーリを見る
胸元に揺れるネックレスが萩を守ってくれた
ネックレスには鈴の紋章がある
「俺がお前を保護しよう」
「良かったね萩ちゃん」
ユーリは萩の手を優しく包み込む
「もう逃げなくていいの?」
「安心しろ、もう大丈夫だ。」
ゼノは萩を抱き上げると馬に乗せ城へと帰って行った
数時間後アルバートが城に帰って来た
「ゼノ様、ただいま帰りました」
「ご苦労だったなアル。状況は?」
森の先では内乱による火事で屋敷が全焼していた
かろうじて残っていたがれきには
鈴の紋章が象られていた
報告を聞き眉を顰める
「やはり萩はクロッシュ王家の娘か」
「はい、その様です。どうされますか?」
「今は眠っている。目覚めてから話をしよう」
濡れた服を脱ぎ侍女にお風呂に入れてもらった萩は
案内された客室のベッドの上にいる
安心だと言われたが不安になり
何度も寝返りを打つ
「眠れない?」
ベッドに腰かけ優しく萩の髪に触れる
「眠るのが怖い.....お願い...」
手を伸ばしユーリ掌をギュッと握りしめる
「大丈夫だよ。僕が傍にいてあげるからね」
目に涙を浮かべながらユーリを見上げる
アーモンドの瞳でにっこり微笑み
おでこにキスが落とされる
「お休み.....萩ちゃん」
手を握り安心して眠りに落ちていった
瞳から零れ落ちる涙を
ユーリは優しく拭ってあげる
暫く萩の寝顔みていたユーリは
音をたてないように静かに部屋を出て行くと
ゼノの部屋へと向かった
『やはり萩はクロッシュ王家の娘か』
中から聞こえた声に手が止まる
(王家の娘.....だから命を狙われたのか)