第7章 あの約束、忘れちゃダメだよ?
「はー楽しかったーー!!」
ゆめ美は思った。
一日を振り返ると、沢山笑った自分がいた。
こんなに笑ったのはいつぶりだろう、と。
いつの間にか、ゆめ美は六つ子に会えるのが楽しみになっていた。個性豊かな彼らと過ごす日々は、目まぐるしくも愉快で笑顔が絶えないのだ。中学…下手したら小学生に返り、一日をはしゃいで過ごした。
「またいつでも遊びに来てよ。両親も喜んでたし」
「夕飯も美味しかった!おばさんによろしく伝えておいてね」
ゆめ美はトランプ後すぐに帰ると言ったのだが、松代に引き止められ特性カレーライスをご馳走になったのだ。
「ハハッ、言っておくよ」
ゆめ美を見送るという、ただ一人勝利の甘ーいご褒美を与えられたのは…
「だけどまさか、全員が大富豪になった挙句、延長戦にまでもつれ込んで、大富豪からの都落ち、都落ちからの下剋上が連続するとは思わなかったな!最終的にみんな同点になったから僕のフラッシュアイディアをサジェスチョンで、平民スタートにしたのがソリューションだったからね。おそ松兄さんがイニシアチブを取り始めた最中、僕が革命を起こした後、十四松にカウンターされた時はどうなるかと思ったけどさ。まぁ、それがきっかけであれがそうなって僕の勝利がフィックスしたんだよね」
ライジングだった。
「あの…急にどうしたの?」
「え?あぁごめんっ、難しすぎたかな?」
チョロ松はふと夜空を見上げた。
「…見て。月が綺麗だね」
「ほんとだ」
都会の薄汚れた空気の中でも、月はぼんやりと柔らかな光を放っている。
「綺麗…。なんか落ち着く…」
「夏の夜とかさ、ビール片手にベランダに出て涼みながら月見るとサイコーなんだよ」
「あーいいねー!」
笑顔いっぱいなゆめ美を見て、チョロ松は女子とフツーに会話が出来ている自分にホッとしていた。
「コミュニケーションツールとしてアルコールは欠かせないけどさ、月を見ていればそれだけで無言のコミュニケーションだよね!」
「そ、そうかもね」
「って、あ、あの、また難しい話しちゃったね!ごめんごめん!」