第6章 一番強いのはぼくだよ!!
ゆめ美はこんなに大人数でトランプをするのは初めてだった。
小学校は身体が弱くて友人が少なかったし、中学や高校をを思い出しても、女の子はトランプなんかよりひたすらガールズトークだった。
まるで、小学生に戻り、失われた時間を埋めているような感覚だ。
楽しくって、どこか懐かしくって…。
「ユメ、俯いてどうしたの?疲れちゃった?」
「あ…なんでもないよトッティ。いっきまーす」
ゆめ美が出したのはスペードの4。
次はおそ松。
(さーてどーすっかなー。ジョーカーで上がったら上がり禁止札で反則だから、誰かに2を出させた後ジョーカーを出して、場を流して残ったスペードのAで上がるのがサイコーな流れだ。でもスペ3返しを考えると…)
ここで、話の流れに沿って一気に特殊ルール二つを説明する。
「上がり禁止札」とは、ジョーカー、2(通常時)、3(革命時)、8(8切りルールを採用しているとき)で上がってはいけないというルールである。
すなわち、これらのカードを最後に残していてはいけないのだ。
これらのカード複数枚で上がった時も同様(ジョーカーは、組み合わせたカードがあがり禁止札でなければ問題ない)であるが、これらのカードを含む階段であれば問題ない。
あがり禁止札で上がった場合は反則となり、次のゲームは大貧民となる。
おそ松が「スペ3返し」と呼んだのは、スペードの3が単独のジョーカーに打ち勝つというものだ。
まさに下剋上。大逆転劇。
これを決められたらものすごく悔しいし、決めた方は優越感で一日ハッピーに過ごせる。
(——二枚で上がるか。せっかくユメが弱い数字から始めてくれたけど…って、ん?ユメ…?)
パスを宣言しようと口を開きかけた時、おそ松の頭にある疑問が生まれた。