第29章 ※トド松エンド 人を好きになるって
律動が止まった。
トド松の全身から汗がぼたぼたと垂れる。主に精神的理由で。
ゆめ美はトド松の滝のように流れる汗に呼吸困難になりかけるが、顔をそらして気道を確保すると、少し考える素振りを見せ、ゆっくりと口を開いた。
「……トッティ、今、兄さ「いやほら、兄さんの鎮魂歌聴かせたいなぁって。兄さん達がいつ死んでもいいように密かに作曲してるんだよね」
「ちんこんか?」
「レクイエムね、レクイエム」
「あぁー」と妙に納得し頷くゆめ美。
「優しいね、トッティって」
「兄さん達大好きだからさ、えへへっ」
(っしゃあぁぁぁあセーーーフッ!!)
ゆめ美の都合よく発動する天然に彼氏生命を救われたトド松だった。
人として危機的状況に陥ったトド松だったが、おかげで射精感は収まっていた。
「でも急にどうしてそんな話を?」
「え?うん、まぁ、ボク自身今死ぬほど気持ちよくて死にかけたからね。死を身近に感じて心配になっちゃって!あはは、あははははっ!」
「そ、そう。じゃあやめる?」
「!」
その一言に作り笑いが強制終了。
トド松がゆめ美を見れば、本気で心配そうにこちらを見つめていた。
「もうっ、冗談だって。死ぬほど気持ちいいってのは言葉のあやだよ!」
「で、でもっ、汗すごいし」
「はい休憩おわりー!」
「え?……や、あぁっ!」
有無を言わせずピストン再開。
ずり、ずり、と腰を引けば、快感が電流のようにトド松の全身を駆け巡る。それに相まってゆめ美の扇情的な喘ぎがトド松を煽り立てる。
会話をしてる時は普通の女の子なのに、抱かれればたちまち妖艶になる。そのギャップが更にトド松をヒートアップさせた。
「っ…」
トド松は目を閉じて行為に集中した。
初めてのセックス、ゆめ美を本番でイカせられなくても、沢山気持ちよくしてあげたかった。痛みだけを残して終わるのは嫌だった。
耳元にゆめ美の吐息がかかる。それだけで一気に最後までいってしまいそうになる。
と、苦しそうだった喘ぎに少し変化を感じ、トド松は目を開けた。
「辛い?」
「違うの…なんか、頭がぼーっと…は、あぁぁ…」
ゆめ美の身体が少しずつ変化していく。