第27章 トド松ルート1 blinded
季節は夏。
心も身体も開放的になる、恋愛にピッタリなシーズンが到来した。
どこもかしこも、キャッキャウフフとイチャつく男女が増える、そんな季節。
だがしかし、夏を謳歌出来ていない残念な六人が、ここ赤塚区には存在する。
「せーのっ」
「だらーーーーーーん」
長男のかけ声で六人は一斉に脱力した。おそ松は寝転んでボヤきだす。
「いやぁ、暑いね暇だね地獄だねぇ。どうしてこうも俺らには予定がないのかねぇ」
「フッ、空虚な時間こそ、己自身と向き合える……だろ?」
「でも本当は?」
「デートがしたい」
「したーーい!デートしたーーい!!汗ばむ肌を寄せ合いたーーい!!」
「ハートのプライベートビーチへオレを連れて行ってくれぇぇえ!」
脳内デートで身悶える兄二人を他所に、チョロ松と一松は二人仲良くパビコを半分こしてちゅーちゅーしている。
「ったく、なに妄想で自ら進んで体温あげてんの?この暑さだよ?外に出る労力とかあるわけないよね」
「ケッ、外出とか……選択肢にも入らない」
食べ終わったパビコをチョロ松と一松が同時にゴミ箱へ投げ、案の定ぶつかり床に落ちた。
チッ、と舌打ちしたのはおそらく一松。
「ホッティ!!」
みんなが暑さでイラつく中、十四松はドラム缶一杯の氷水に浸かっている。勿論、彼の奇行に慣れっこな五人はノーコメントだ。
「あ。そういえば、明後日って赤塚川の花火大会だよね?みんなで行く?」
「は?」
チョロ松の何気ない一言に、おそ松は眠気で閉じかけた目をくわっと見開いた。