第25章 チョロ松ルート2 本当の僕って
(もう三十分経っちゃったんだ)
時計を見てため息を吐く。
(そうだ!チョロ松くんは…!)
と、起き上がろうとしたゆめ美の手を誰かが包み込んでいた。
「あ……アラーム止めておいたから」
温もりの正体は、つぶらな瞳を輝かせ、照れくさそうにへの字口を歪ませている。
目が合えば、嬉しさのあまりまた涙がポロポロとゆめ美の頬を伝った。
「えっ!ごご、ごめん!苦しそうにしてたからつい…!」
離れかけた手を、キュッと結んで拒むゆめ美。
「よかった…チョロ松くん…本当によかった…」
「ええと、あんまり覚えてないんだけど、心配かけてごめんね。もう大丈夫だから」
チョロ松は、手の力を強め握り返す。
「……ありがとう。あの長い悪夢から僕を助けてくれたのってゆめ美ちゃんでしょ?なんとなく覚えてるんだ。なんと、なく…だけど」
「じゃあ、返事…」
ゆめ美の言葉で、チョロ松は一気に頬を紅潮させる。
「…やっぱり夢じゃなかったんだね」
「もう一度言わなきゃダメかな」
「いっ、いいよ!脳の奥まで浸透してるから!!」
「なにそれ」と言いながら笑い出すゆめ美の肩を掴み、真剣な瞳で見つめるチョロ松。
「僕、まだまだダメだけど、頑張るから、だっ、だから、僕でいいなら」
「私でいいなら」
——付き合ってください——
言葉が重なると同時に、ゆっくりと唇が重なった。
チョロ松エンドへつづく