第24章 チョロ松ルート1 病魔に侵されるシコ松
それは、平和な松野家を突然襲った悲劇だった。
いつものように昼頃ダラダラと目を覚まし、六つ子が母の愛に溢れた朝食を食べている時のこと——。
「チョロリンリン…シコリンリン…」
居間に響くは、チョロ松の謎めいた呪文…のようなもの。
誰もチョロ松の呪詛には触れず——いや、正確には触れられず黙々と食事を続ける。
「マジカル…シコカル…シコシコピッチャン…」
「ブーーーーッ!!」
"シコピッチャン"でついに十四松がごはんを吹き出した——が、誰も反応しなかったので、十四松も何事もなかったかのように猫目で食事を再開する。
「シコ…シコピッチャン…」
あまりにも食事の妨げになるシコピッチャンを、トド松がチラと盗み見た。
(シコ松兄さん…どうしちゃったのホント…)
目は虚ろ、心ここにあらずな感じでボソボソ呟きながら白米をつついている。
トド松は、隣で味噌汁をすすっているおそ松を小突き、耳打ちした。
(おそ松兄さん、あれなんとかしてよ)
(朝からなにあいつ。ウケるー)
(いやウケるけどヤバイよ!あれホントにヤバい!末期ビッグバンだよ!?あんなんで外出されたらご近所さんに顔向け出来ないから!兄さんなんか話しかけてみてよ!)
(やだー、めんどいからカラ松よろしくー)
と、おそ松はカラ松の太腿をつねった。
(痛っ!?ってオレ!?)