第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
「トッティ…はい」
「ありがとう一松兄さん」
心に吹雪が吹き荒ぶカラ松からパッと離れ、一松からイカゲソの入った皿を受けとる末弟。このイカゲソは、一松のさりげないご機嫌とりだったりする。
「聞いてよゆめ美ちゃーん、コイツ十四松がホラホラ〜って女将の笑い方真似しただけでチビってんのー!」
「いや声の再現度ハンパなかったからね!?声帯どうなってんの!?あんなんトラウマ呼び戻されても仕方ないから!つかチビってねーし!」
会話の内容は、先ほどの"青鬼の真似で失禁しかけたトド松"で持ちきりだった。茶化すおそ松と唸るように言い返すトド松に挟まれ、ゆめ美は苦笑しながら枝豆をつつく。
「ボクだけじゃないでしょ!チョロ松兄さんだってビクってしてたし!」
「ヒック…あぁん?テメーのケツ毛は何本だ〜?」
「あ、ダメだこの人ほっとこう」
「あっはは、一松にーさんはい唐揚げー」
「にゃあーーん」
「ふふっ、みんな悪酔いしないでね」
酔ってわいわい騒いでいる六つ子達の会話に耳を傾けつつ、ゆめ美はおしぼりを渡したり皿を纏めたりしている——と、
「ゆめ美ちゃーん、ちゃんと飲んでるぅ〜?」
隣にいるおそ松がゆめ美の肩を抱き寄せた。
「の、飲んでるよっ」
「んで、そろそろ決まった?」
「え?」
「…どの松にするのか」
「…!」
耳元でそっと意味深な台詞を囁かれ、一気に顔が紅潮するゆめ美。
「あ、あのっ、私は…っ!」
「おそ松兄さん!なにセクハラしてんの!ユメ、嫌なことは嫌ってハッキリ言わないと!痴漢がつけ上がるだけだからね」
おそ松に負けじと、反対側に座っていたトド松もゆめ美の手を握り甘く囁く。
「ボクの回なんだから、こっち向いて」
トド松はさりげなくゆめ美に身体を密着させる。
「ねぇ、ボク…なんか酔っちゃった。今夜はちょっとだけ甘えさせてよ…」
悩みに一番効く薬は、逆ハーによる癒しである。
トド松の場合 完