第2章 出会っちゃったのだ!!
ニート達の朝は早い。
この日も六人は、パチンコの新台入替に並ぶため朝九時に家を出た。寝不足なせいで全員機嫌が悪く、互いに八つ当たりしながら列に並んだ。
そしてトド松だけ、兄達に一人百円ずつカツアゲされた。並んでる途中、女子とラインをしたからという、何とも理不尽な理由からである。
「オマエラ今に見てろ…ボクが勝ってもぜってぇ一円もやらねぇからな!!」
・・・
しかし、現実はそんなに甘くなかった。
パチンコ屋から出てきた六つの人影は「敗北」を背負っていた。
見るも無残なクソニート達は、夕陽を背にブツブツと醜い会話を繰り広げる。
「はーつまんね。普段の行い良すぎるくらいなのに、なんで負けるかなー」
お気楽バカなクズ発言をするのは、六つ子の長男にして奇跡のバカ、松野おそ松。
「フッ、幸運の女神はキマグレなのさ」
昼夜屋内外問わずサングラスをかけ、イタイ厨二病発言連発、自分に酔いまくるサイコナルシストは次男松野カラ松。
「やっぱり、こんな不毛なことしてても意味ないよ。形だけでも就活しないと」
一見マトモを装うがどこか残念なことを言っているのが、アイドルオタクでプライドの亜種、三男松野チョロ松。
「てか…生きてるのが不毛」
常に闇発言、孤独を抱えマイペースに生きる猫大好き四男松野一松。
「凹みぃーーマッスルマッスルー!ハッスルハッスルー!!」
一度味わえば病みつきになる事間違いなし。奇妙キテレツな十四松というオンリーワンなジャンルを確立した、なんかよくわかんない五男松野十四松。
「あーあ、帽子買いたかったのに金欠ーっ!」
ダメな兄五人を上に持つも、あざと可愛さで乗り切る人心掌握術の達人、末っ子松野トド松。
顔はそっくりな六人だが、発言は六人六色、個性豊かなダメ人間達である。