第22章 拍手御礼小話 だいじょーぶ!!
誰もいない夜の公園で、ゆめ美はベンチに腰掛け深いため息を吐いていた。
(あーあ、なんであんなミスしちゃったんだろ…)
仕事中、アカツカ亭の常連さんのシャツにナポリタンをぶっかけてしまったゆめ美は、数え切れないくらい後悔していた。
しかもその常連さんに粗相をするのは一度だけではない。
口が常人離れした大きさで横に開いているので——もうお気づきの方もいるかとは思うが常連さんとはダヨーンである——しょっちゅう料理を運んで横を通る時にぶつかってしまうのだ。
沢山謝罪をし、常連さんには作り直したパスタとドリンク無料券を提供した結果、テーブルを一卓吸い込まれるだけで済んだものの、ドジな自分への嫌悪感がいつまでも拭えずにいた。
店主にキツく叱られはしなかったが、それが余計に罪悪感を膨らませていた。
申し訳なさで胸がいっぱいになり、幾度となくため息がこぼれ落ちる。
(私のせいであのお客さんもう来てくれなくなったらどうしよう…)
一度落ち込むと深みにはまるのがゆめ美である。
家へ帰り一人反省会でもしようとゆめ美が顔を上げた時、突然誰かに声をかけられた。