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おそ松さん〜恋セヨ松野さん〜

第20章 アンケート回 松怪奇譚〜落〜




——悪魔のような旅行から帰ってきた数日後、六つ子はサファリパークに来ていた。

サファリゾーンを走る車内に笑い声がドッと沸く。


「いやぁ、マジで喰われるかと思ったよな!終わってみれば呆気なかったけど」


ポンと運転席の兄に肩を叩かれ、助手席の三男は口を開く。


「そうだね。まさか地下室に一松が火を放った後、階段を上がって玄関まで走ったら、たまたまいい感じに瓦礫が崩れ落ちて全員無事に脱出出来て、その後すぐたまたま老朽化が激しかった旅館ごと崩壊して、たまたま二階の部屋に置いていた僕らの荷物が目の前に落ちてくるなんてね。そしてたまたま明け方滝のような雨が降って山火事にならずに済んで、青鬼達の姿はどこにも見当たらなくてめでたしめでたしだったんだよね」


三男の話に相槌を打ちつつ、後部座席の次男は腕を組んで頷いている。


「フフーン、結局最後まで青鬼の正体は分からずじまいだったな。だが、こうしてみんなで笑いあえている。それだけでオレは満足さ」

「見て十四松兄さん!ライオンの赤ちゃんかわいーっ!」


末弟ははしゃぎながら窓の外を指差した。


「あっははー、貸切最高!!」

「イヒヒ…絶景…」


歓談する車内から見える景色には、草原をかける逞しいライオンの群れ。

その群れに追われ、全裸で大絶叫しながら逃げ惑うイヤミとチビ太を眺めながら、六つ子は彼らからふんだくった諭吉で顔を扇ぎ、至福のひとときを過ごすのだった。












松怪奇譚 おしまい
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