第4章 内面を充実させる為にまずは外見から高めていかないとね?
ゆめ美は下を私服のデニムに履き替えてから、カラ松をバックルームへ招き入れた。
「よろしくお願いします」
向かい合わせで椅子に腰掛け、ぺこりと頭を下げる。
「フッ、任せてくれ」
カラ松は得意げにそう言って、脱ぎたてのスカートを受け取った。
当たり前だがホカホカだった。
ゆめ美の温もりを感じ、嬉しいやら恥ずかしいやら。顔が熱くなるのを誤魔化すように唇を結ぶ。膝の上にスカートを乗せ、損傷部分をジッと睨んだ。
「どうかな?直りそう?」
「任せておけ」
バックルームにいるのはゆめ美とカラ松二人きり。他のみんなは客席で待機中だ。
(邪魔者がいないゆめ美ちゃんと二人きりの世界…か。来た…!ついに来たんだ!オレの時代が…っ!!)
裁縫セットを受け取ると、カラ松は糸通しを使わず器用に針に糸を通した。
生地がよれないよう、丁寧に縫っていく。
「カラ松くん、男子なのに裁縫得意なんて凄いねー」
「んー…?」
正面を見れば、カラ松を見つめる爛々と輝いた瞳。
ドキリと胸が高鳴り、カラ松は思わず作業の手を止めてしまった。