第19章 ※アンケート回 松怪奇譚〜解〜
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青鬼は獰猛だがオツムはあまりよろしくないらしい。
ひとしきり部屋を荒らし終わると、クローゼットに二人が隠れているのを気づかず部屋から去って行った。
一松のイチボ作戦は大成功だった。
「一松、行ったみたい」
「……」
「一松?」
甘い色香に当てられた一松は、寄りかかるようにゆめ美の首筋に顔を埋め、深く息を吐いた。いつもと様子が違う一松が心配になり、ゆめ美は声をかける。
「具合悪いの?身体すごく熱い」
「……よく、わかんない…」
「え?」
「自分が何したいのか」
うなじに吐息がかかり、くすぐったさにゆめ美が身をよじらせると、一松は体重をかけてゆめ美をクローゼットの角へと押しやった。
「いちま、つ…!?」
「なんか…おれ、止まんない…かも」
一松は己を守っていた殻を破った。
壊れやすく脆い、取扱注意な心を剥き出しにする。
「ゆめ美…ちょうだい」
「な、にを…待って…」
ゆめ美の返事を待たずにうなじにキスを落とし、柔肌に吸い付いた。
「ぁ……っ」
抵抗する両手を掴んで指を組み、首や鎖骨に数え切れないほどキスを降らせる。
(やっぱり甘い…ゆめ美って)
世界がぼんやりし、身体の内側が燃えるように熱い。
拒絶される?
嫌われたくない?
あーもうメンドくさ。
そーゆーのさ、いいよもう。
今までどんだけ我慢してた?
どんだけクソみたいにビクビクしてたんだよ。
みんな、ごめん。
おれはゆめ美が欲しい。
全部欲しい。