第14章 トッティメモリアル
バレないよう、素早くネックレスを手の中に隠す。
「…べつに!関係ないでしょ!」
「関係ないかもしれないけど、お前は関係あることまで隠すだろ?はい、乾杯」
「……ありがとう」
缶をぶつけてグビリと一口。
「プハーーッ!!五臓六腑に染み渡るぅっ!!」
「ちょっとなんなの?一口で出来上がるとかやめてクソ面倒だから」
「固いこと言うなよぉ〜!硬いのはチンコだけにしてよターーッティ!!」
「サイテーだな!?もぅ…一人になりたかったのになんで絡んでくんだよ…」
センチメンタルをぶち壊され不愉快でしかないトド松の横で、チョロ松は悪酔いを始めた。
「ったーーくよぉ!いつになったら童貞捨てられんのかねぇ!」
「プッ、それよりもまずはキスを卒業しないとねっ」
「キスだぁ!?………したい。卒業したいです。ゆめ美ちゃん、いい?」
缶を置き、チョロ松は熱視線をトド松へ送る。
「は?え?なに血迷ってんの!?ボクユメじゃなくてトド松!トッティ!」
「舌入れなきゃいいチョロ?」
「なにキャラぶっ壊れてんの!?ちょ、やめ、離せ!ぎゃぁぁぁあ!!」
「痛っ!ゆめ美ちゃーん!足踏んづけてぐりぐり止めるチョローッ!!」
・・・
パジャマに着替え終わったおそ松は、ハタ迷惑でしかない二人を隔離するため、ベランダの鍵をそっと閉めた。
「うっせーなあいつら。この真夜中に何やってんだか」
「……煩ってるんじゃない?」
「は?病気?性病?童貞のくせに?」
「ナイショ。つか今日は疲れたからもう寝る…」
「えーっ!教えてよぉ〜いちまっちゃんのいけずぅー」
しつこく絡んでくる長男に、四男はそれ以上何も教えず布団に潜り込んだ。
・・・
「離せよこのシコがッ!トド松だってば!」
「はぁーーーん!酔った勢いで今なら言えるぅーん!初めてをもらってくださーーいっ!!」
上空で煌々と輝く月は、愚かな二人をいつまでも優しく照らしていた。
——次回は番外編です!