第14章 トッティメモリアル
腕を組んだまま、二人は電車に乗り込んだ。
はたから見れば完全に彼氏彼女にしか見えない。
トド松がこんなに積極的なのには訳があった。
(ったく、兄弟順かなんか知らないけどさ、このボクが兄さん達に遅れをとるとかありえないし)
ゆめ美の自宅でカラ松が看病していたり、チョロ松が自分より先にお茶していたり、十四松に至っては目の前で堂々とハグをやってのけていた。
連絡先を交換したのは自分だけなのに、なぜ兄達の方がゆめ美と接触しているのか、考えれば考えるほどイライラは募るばかり。
という訳で、トド松は焦っていた。
(ついに訪れた初デート…、今日、ユメに分からせてあげるんだ——ボクが一番マトモで可愛くてかっこいいってね)
窓の景色を眺めているゆめ美の肩をつつく。
「着いたよ、降りよ?」
「う、うん」
トド松は、絡まる腕に俯き照れるゆめ美を、混雑する電車の中、かばいながらホームへ降りた。ゆめ美も人にぶつからないよう、組んだ腕の力を強め、くっつくようにして歩く。
(よかった。ボクとこうして歩くの嫌じゃないみたい)
けれど、歩くたび腕にふにふにと感じる柔い衝撃の破壊力はすさまじいものがあった。
(……てかナニコレエロい!?腕を組むのってこんなにエロいの!?朝一番にオナニーしといてよかったぁぁあ!!)
出してなかったら、今頃タッティがマーライオンだっただろう。
松野家の六つ子の下半身を舐めてはいけない。
・・・