第3章 さぁこの出会い、本物の愛にまで育つかな?
赤塚駅のすぐそばにある商店街の奥に、ひっそりと佇む洋食屋がある。
赤レンガに掛けられたアンティークな木目調の看板には"洋食・アカツカ亭"の文字。
ドアを開けば、そこはもう別世界。
壁には西洋絵画や古いレコードが飾られ、店の奥には動かない蓄音機が大切に飾られている。
クラシカルなデザインを施されたウォールナット材のテーブルと椅子は、店主自らイギリスから買い付けたもので、オープン当初の二十五年前から大切に愛用されている。店と共に歳を重ねた"本物"のアンティークだ。
店主こだわりのレトロな内装が、古き良き昭和の雰囲気を漂わせ、まるでタイムスリップしたかのように昭和ノスタルジーの世界へといざなってくれるのが、この店の魅力である。
この店の店主は、若くして妻を無くし、子供もいない初老の男。
銀髪オールバックと口髭がトレードマークの笑顔が素敵なオジサマだ。
ゆめ美は、小さな頃からこの店の店主である伯父とアカツカ亭が大好きだった。
時間さえあれば、実家から電車に揺られ一人でお気に入りのオムライスを食べに来るほどだ。
そんなゆめ美が実家を出ることを決意した時、いちばんに頭に浮かんだのがこのアカツカ亭だった。
そして、彼女自ら店主に頼み込み、ここアカツカ亭で働き始めることとなったのである。
勤めてから半年。
未だに仕事に慣れずミスの多い彼女だが、店主はその成長を温かく見守っていた。
あくせく働くゆめ美を眺めては、自分にも娘がいたらこれくらい大きくなっていただろうかと、顔を綻ばせながら…。
——話をまとめると、洋食屋アカツカ亭は、主人公であるゆめ美が働く、なんかホンモノ感があってダンディズムなカッコいいオッさんが経営する、なんかホンモノ感があってサブカル臭ハンパない、マニアうけする街の小さなレストラン、である。
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