第2章 出会っちゃったのだ!!
「おそ松、この次男カラ松を差し置いて抜け駆けは許さないぜ?」
「あのっ、もし暇してるならスタバァの席確保しておこうか?」
「野球教えてあげるー!」
「ボク、最近レッドボトルコーヒー気になってんだ。よかったら一緒に行かない?」
ただ一人何も口にしない四男も、道端の猫じゃらしを摘んで差し出している。彼なりの意思表示らしい。
女を求める童貞の必死さといったら、なんとも健気で哀れなものである。
ほぼ初対面な同じ顔六人から一斉に求愛され、ゆめ美は動揺を隠せない。
「ちょ、ちょっと待ってみんな!とりあえずトト子を家に連れてったら、お店に戻らないといけないから…」
「オーケー!さぁトト子ちゃん、オレの肩に掴まって…」
カラ松が泥酔状態のトト子の腕を掴んだその瞬間…
「うっぷ……ゔぉえ"ぇぇえぇぇえーーーっ!!」
「あ"ぁぁぁあ"ーーーーっ!!??」
——トト子は、盛大にキラキラした何かを彼のパーカーにぶっかけた。
その後、六つ子とゆめ美はかわりばんこでトト子の肩を支えながら無事家へ送り届けた。
道中、六人とゆめ美の距離は自然と縮まり、解散する頃にはゆめ美は全員の名前を言い当てられるまで仲良くなっていた。
人というものは、ともに苦難を乗り越え絆を深めるのである。
結果、この日デートすることは叶わなかったが、後日ゆめ美が働く洋食屋に六人で食べに行くこととなった。
こうして、六つ子とゆめ美の恋物語が始まった。
3章へつづく