第29章 対等の相手
緑谷
「僕は、麗日さんに沢山助けられた。だから、少しでも助けになればと思って…」
オタク君が、ノートを手に麗日さんを見つめる。
緑谷
「麗日さんの“個性”でかっちゃんに対抗する策、付け焼き刃だけど…考えて来た!」
ほほう。
飯田
「おお!麗日君、やったじゃないか‼︎」
麗日
「ありがとう、デク君…でも、いい」
緑谷
「え……」
いい…要らないって事か。
麗日
「デク君は凄い!どんどん凄いとこ見えて来る。騎馬戦の時…仲良い人と組んだ方がやり易いって思ってたけど…今思えば、デク君に頼ろうとしてたんかも知れない。
だから、飯田君が『挑戦する!』って言ってて、本当はちょっと恥ずかしくなった」
緑谷
「麗日さん…」
麗日
「だから、いい」
麗日さんが、椅子から立ち上がって、出入口に向かう。
麗日
「皆、将来に向けて頑張ってる!そんなら皆、ライバルなんだよね…だから、決勝で会おうぜ!」
控え室から出る前、私達を振り向いてサムズアップ…その手は、震えていた。