第27章 姉の一回戦
轟君がエンデヴァーを嫌いなら、エンデヴァーが誰と話してようが気にする必要は無い筈…
だから分からない、私を問い詰めた理由が。
薙景
「私は…君の心境なんて知らないし、知りたいとも思わない」
何で、私は態々連れて来られたのか…
薙景
「エンデヴァーと話した事も、悪い事だとは思わない」
何で、私は轟君に睨まれてるのか…
薙景
「…この状況が理解出来ない」
何で、轟君が私に怖い顔を向けるのか…
薙景
「もう、放してくれないかな」
何で…轟君が悲しそうに見えるのか…
轟
「………悪かった…」
そっと私を放して、轟君は用具室から出て行った。
私の手首には、轟君の手の跡が赤く残っている。
薙景
「…モヤモヤする…」
忌々しい“個性”でそれが消えていくのを見ながら、私はそう呟いていた。