第12章 失われた言葉
あれから銃弾も飛んで来る事はなく二人は無事に港へと辿り着いた。
『流石にもう大丈夫かな』
「そのようね……あら、あなたその腕…」
ロビンが何気なくユナの腕を見ればそこには白い肌に反して赤い筋が一つあった。銃弾を掠めたような跡に先程自分を庇った時に出来た傷跡だと悟るとロビンは心配の声をかけた。
『大丈夫問題無いわ、気にしないで』
「ありがとう…、ところで──さっきの銃弾はどうやって分かったの?」
真後ろから飛んで来る銃弾に気付くなんて常人では考えられない、そんな思いから聞けばユナはそのカラクリを教えてくれた。
なんでも町の治安が悪いと分かってから自分を中心に半径300メートルに風の防壁を作っていたとか、それにより範囲内で起こっている事は風を伝って逐一把握していたらしい。
飛んで来た銃弾も風が捉えて反応したとの事。
『でもまだ広範囲とか長時間の持続は出来ないのよね…私もまだまだだなぁ』
なんて零せば、それでも十分凄いし実際わたしは助かったと、ロビンは賞賛してくれた。
『うん…ありがと』
素直に笑ってお礼を言えばロビンも微笑む、そうこうしている間にメリー号が見えてきた…とりあえずは手に入れた情報をみんなに伝えるべく二人はメリー号へと足を向けたのであった。