第11章 サルベージ
空から船が落ちてくると言う怪奇現象に放心状態の一味だったが次第に平常心を取り戻し、とりあえず状況を整理しようとひと息ついたところでナミが叫んだ。
「ど、どーしたんだよナミ?」
「ログポースが壊れた‼︎」
「何だって⁉︎」
「ホントかナミさん⁉︎」
普通のコンパスでは磁気が狂い通用しないこの”グランドライン”(偉大なる航路)で唯一通用するのが”ログポース”(記録指針)だ、これが無ければ航海はほぼ無理と言っても過言では無い。
そのログポースの指針が上を指したまま動か無いことに気付いたナミは、ログポースが壊れたと焦っている。
「──いいえ、違うわ航海士さん」
焦るナミにロビンが冷静に指摘する。この海でログポースを疑ってはいけない、疑うのは自身の頭の中の常識。指針が上を指したという事は──
「より磁力の強い”空島”にログ(記録)を奪われたという事…‼︎」
「空島だと⁉︎」
「空に島なんてあんのかよ⁉︎」
そんなバカなと半信半疑のナミはハタと気付く。
「ちょっと待って…ユナ、あんたは空島についてなんか知らないの?」
前は白ひげの船にユナは乗っていたのだ、そんな大海賊のクルーだったなら空島についても何か知っているかもしれない。そう考えての事だったがナミの期待は外れてしまった。
『残念だけど知らないわ……あ、でも』
「でも?」
『前に仲間が空島の”ダイアル”がどうこう言ってた気がするわ』
昔の記憶を微かに思い起こす、それはほんの些細な仲間の会話を聞いたに過ぎない、だからその”ダイアル”が何なのかとか空島についてとか詳しい事は分からなかった。
「その”ダイアル”ってなんだろな」
「いやそれより”空島の”って事はやっぱ空島はあるってことじゃねェのか」
ウソップとサンジが零せばとりあえず情報が足りないわねとナミが呟く。