第10章 空からの落としもの
ナミ、ウソップ、チョッパーが叫ぶ中ゾロが刀に手をかける…が、あれだけの大きな船を斬れるだろうかと躊躇う。ルフィのゴムで防いだとしてもメリー号がその衝撃に耐えれない、足技のクソコックに関しては論外だ。
やはり自分がやるしかないと刀を抜こうとしたその時、隣にいたユナが跳び上がったのが目に映った。
「あっ、おい‼︎」
『みんな!しっかり船に掴まってね‼︎…アネモストロビロス(竜巻)‼︎』
見張台に跳び乗るとユナは両手を空に翳し、力の限り竜巻をガレオン船へとぶつけた。
竜巻によってガレオン船は大きく二つに破壊されメリー号を避けて海へと落ちる、四散した船の破片と残骸が容赦なくメリー号へと降り注ぐ。
『…っアネモスフラグマ(風壁)!』
次いでユナはメリー号の上空に”風の防壁”を作り残骸からみんなを護るが、破壊したガレオン船以外にも空から降ってくる船の残骸が海に落ち、その反動で波が高なりメリー号を大きく揺らす。
「捕まれ‼︎船にしがみつけ‼︎」
「何⁉︎これ何⁉︎ねェ何⁉︎」
何が起こっているのか理解出来ず只々船から振り落とされない様にしがみつくのが精一杯のナミは叫び、ウソップに至っては現実逃避したらしく、これは夢だと自分に言い聞かせていた。
どれ位そうしていたのか体感的には長く感じたが時間にすれば1分も満たなかっただろう。
「…おさまった…のか…?」
「そのようね……」
未だに信じられないと言う感じでウソップが呟けば、ロビンがそれに応える。
「なにが何だかさっぱりだな…」
「おれ…死ぬかと思ったぞ…」
「ユナ、ありがとな!」
サンジ、チョッパーが呟き、ルフィがお礼を言えば見張台からふわりと着地したユナはどう致しましてと返した。
一体何が起こったのか皆目検討もつかず麦わらの一味は暫くその場で呆然とするしかなかったのだった…。