第8章 終戦
「ホラしっかり歩け」
「待ってくれよおれは重症なんだってば…」
「それはみんな一緒だウソップ」
戦いは終わった…だが一味にはまだやる事がある、それはクロコダイルを打ち負かしてどっかで倒れているであろう”船長”の回収と最近新しく仲間になったユナを探す事だ。
「ルフィはともかくユナちゃんが心配だ…」
「おれもレインベースで別れたきりだから心配だな」
歩きながらサンジとチョッパーが口を開く。本人からはそこそこ戦えるとは聞いたが、やはり女の子には危険な目には遭って欲しくないとサンジは思う。
「そう言えば確かウソップはユナに会ったのよね?」
「なに⁉︎」
ふと思い出しナミが尋ねれば案の定サンジが食い付いた。ガクンガクンとウソップの肩を掴んで揺らすとどこで会ったのかを問い詰める。
「お、落ち着けサンジ!今度こそウソップが本当に死んじまうぞ!」
思いっ切り揺すられ泡を吐くウソップを見てすかさずチョッパーが止めに入る。お陰でサンジから解放されたウソップは意識が朦朧とする中、最後の気力を振り絞って口を開く…。
「…チョッパー…頼みがあるんだ、聞いてくれェ…」
「なんだ⁉︎聞くぞウソップ!」
「おれが死んだら骨はイーストブルー(東の海)に捨ててくれ…」
「よし分かった…ってダメだー‼︎死ぬなウソップー‼︎」
「そんな寝言はいいからユナちゃんと会った場所を言いやがれウソップ!」
「わわわ!サンジやめろってばー!」
「…うるさい‼︎」
ゴツッとまるでコントのようなやり取りの三人にナミの鉄拳が落ちる。それを見ていたゾロは「アホか」と零したのは言うまでもない。
「──!」
呆れていたゾロの目付きが急に鋭くなる、その様子を見てナミが首を傾げた。
「…どうかしたゾロ?」
「シっ……誰か来る…」
人の気配を感じたのかゾロが刀に手を添える、この土砂降りの中とてもじゃないが凡人には分からない気配を感じ取ったゾロは末恐ろしいなと思いながら、ナミも分からぬ気配に身構える。