第7章 タイムリミットとビビの声
「それより…」
ゾロがユナを上から下まで見ると眉間にシワを寄せた。
「てめェは大丈夫なのかよ…?」
言われユナはコテンと首を傾ける、確かに薬を打たれて身体に力が入らないから今でも地面には着地せず風を纏わせ微かに浮いている。
だがこれだけでそれがバレるとは思わないし心配される事も無い筈だ、ユナはどういう事だろうと悩んでいると横にいたウソップが悲鳴に近い声を上げた。
「ギャァーユナおめェ真っ赤じゃねェか‼︎大丈夫なのかよ⁉︎」
ウソップがユナの下半身を指差して驚いている、一体どうしたと言うのだとウソップの指差す先を見てユナは軽く目を見開いた。
腹部から足元に掛けて真っ赤に染まっていたのだ、なに?と思い腹部に手を当てるとベトリと真っ赤な血が手に付いた。どうやら腹部からの出血が原因で脚を真っ赤に染め上げていたらしい。
「おい、その血の量ヤバくないか⁉︎おめェ何でそんな落ち着いてんだよ⁉︎」
ユナの足元に出来る血溜まりにウソップが1人騒ぐ中、血を流す当の本人は至って冷静だった。
それもその筈、血が脚を伝う感覚もましてや傷口の痛みも今のユナには無いのだ、それ程までに毒はユナの神経を麻痺させていた。
恐らくこの傷は先ほど身体に振動を感じた時に出来たのだろう、大方流れ弾でも当たったか。
『あー…とりあえず止血しないとヤバイかも』
「ヤバイかもじゃなくてヤベェだろ‼︎」
ウソップに突っ込まれながらも「とりあえずそこ座れ」と樽の上を指差されユナはふわりと移動すると樽の上へと腰を降ろした。
『ところで2人とも何をそんなに焦ってたの?』
ウソップが何処からとも無く取り出した包帯で応急処置を受けながらユナは先ほどの2人の慌て振りを聞いた。
「そうだった‼︎時間がねェんだよ‼︎」
手際良く応急処置を終わらせたウソップにお礼を言いながらユナは話の続きを促した。なんでもこの広場にクロコダイルが半径5㎞の被害におよぶ砲弾を仕掛けたらしい、それを今みんなで手分けして探しているところだと言う。
「もう5分も時間がねェんだ‼︎」
そんな一大事にのんびり座ってる場合では無いとユナが立ち上がろうとしたその時、ゾロが何か閃いたのか口を開く。