第6章 ルフィvsクロコダイル
「珍しいわね…貴方が人を勧誘するだなんて」
実際には勧誘だなんて優しいものではなく力尽くで奪ったのだが。自分が気絶させた栗色の髪の少女は今クロコダイルの小脇に抱えられている…微動だにしないところからまだ目覚める事は無いだろう。
黒髪の女ミス・オールサンデーとクロコダイルは地下通路を歩きながら他愛も無い話をする。
「…なんだ?こいつが気になるのか?」
いつもは我関せずと言う感じでだんまりを決め込んでいる女が珍しく口を挟んでくるとは…それ程に自分の行動が珍しかったのだろう、クロコダイルは自嘲気味に笑った。
「…まぁ、腐れ縁てやつか…もっともこいつはおれの事なんて知らねェだろォがな」
先程麦わらの一味と一方的なゲーム(遊び)をして気分が良いのか何時もなら何も答えないクロコダイルが今は饒舌だ。それをいい事にミス・オールサンデーは黙って話の続きを促した。
「もう何年も前にパッタリ消えちまったもんだからのたれ死んだのかと思ったが……クハハ、巡り逢わせとは面白いもんだな」
こいつがいれば世界政府も取るに足らん、そう言うとクロコダイルは不敵に笑いそれ以上話そうとはしなかった。
「行くぞ」と足を進めるクロコダイルに続こうとした時、ふと足元に何かが落ちているのに気が付いた。ミス・オールサンデーは徐にそれを手に取る、オレンジ色のテンガロンハットだ。
確かこれは…と前にいる少女に目をやる。何処にでもいそうなこの少女のどこにそれだけの力があるのか見当も付かないが、クロコダイルに捕まった時点でこの少女の先は知れている。
何時もなら他人の事など気にも留めないがこの少女と麦わらのルフィは何故か気になるものがあった。ミス・オールサンデーは後ろをチラリと窺う、通路の先にはクロコダイルの遊びによって絶望してるであろう麦わらの一味達がいる。
自分達を追って来ないのは今それが出来ない状況にあるから、それでも彼等とはまた会う気がする。それは少し楽しみだと思う自分は本当にらしくないと思う、クロコダイルに気付かれぬようミス・オールサンデーはひとつ笑みを零すと帽子を手にその場を後にした。