第4章 真にやるべき事は
日が昇り炎天下の中、麦わらの一味は反乱軍が本拠地を移したというカトレアに向けて再び移動している時の事だった。
「やめた」
いきなりルフィがその場に座り込んでしまった。
「”やめた”って…ルフィさんどういうこと⁉︎」
「おいルフィこんなとこでお前の気まぐれにつき合ってるヒマはねェんだぞ‼︎さァ立て‼︎」
「戻るんだろ」
ルフィの言う通、カトレアはナノハナの隣にあるため行くのには昨日きた道を戻る必要がある。
「つまんねェ」
一味はルフィの言葉の意図が分からず首を傾げる者、怒る者、黙る者と様々だ。ユナは事の成り行きを黙って見守る。
「……ビビ」
「なに?」
「おれはクロコダイルをぶっ飛ばしてェんだよ‼︎」
「‼︎」
反乱軍を止めてもクロコダイルは止まるのか、カトレアへ行ってもルフィ達はすることが無い、なんなら海賊の自分たちはいない方がいい。
ルフィの言い分にビビは咄嗟に言葉が出なかった。どうやらいつもなにも考えていないルフィは偶に核心をつくらしい、ルフィのくせにとサンジとウソップが話している。
「お前はこの戦いで誰も死ななきゃいいって思ってるんだ‼︎国のやつらもおれ達もみんな‼︎」
”七武海”のクロコダイルが相手でもう100万人も暴れ出してるこの戦いでビビはみんな無事ならいいと思っている。
「甘いんじゃねェのか」
ルフィのキツイ言い方に今まで黙っていたナミが怒るがそれをサンジが制止させる。
「何がいけないの⁉︎人が死ななきゃいいと思って何が悪いの⁉︎」
叫ぶビビの気持ちは痛いほどよく分かる、かつて自分もそれを望まずにはいられなかったのだから…ユナは人知れず拳を固く握り締めていた。
「人は死ぬぞ」
──ルフィの容赦の無い言葉が心に深く突き刺さる、初めてルフィに会って感じた懐かしさはおそらく麦わら帽子のせいだろうと思っていたが…”あの人”と同じことを言うルフィはやはりどこか懐かしさを感じる。
だから余計にその言葉が心に突き刺さるのだろう、ユナの顔が少し陰った。
その様子を人の顔色を読むことに聡いゾロは片眉を上げて見つめていた。