第25章 過去からのメッセージ
『…いいじゃない別に、みんなには”迷惑”を掛けないわ!』
その言葉でロジャーの眉がピクリと動いた。深い溜息と共に厳かに口を開く。
「…じゃあ聞くが、仮にもしお前が力を使って、それであいつが元気になったとしても、それがあいつの意に反してたらどうなんだ?」
「この船の奴らはみんなお前の力の”リスク”を知ってる…仲間を傷つけて手に入れた命にあいつは素直に喜べるか?」
『………』
「…後はあいつを信じろ、それでも力を使うってンなら…それはあいつの為じゃねェ。お前の”エゴ”だ」
『……っ』
ロジャーの容赦無い言葉にユナは堪らずその場を飛び出した。
ユナを呼び止める仲間の声が響くがユナの足が止まる事はなかった。
ユナが出て行き静まり返った船長室で、二人を見守っていた仲間が重い空気の中口を開く。
「船長、いくら何でも言い過ぎじゃ…」
「ユナだって別に信じてない訳じゃねェんだよ」
「…そんなこたァ分かってる……」
深い溜息を吐くとロジャーは手で顔を覆った。
あいつは自分の事を蔑ろにし過ぎるところがある、少しはマシになったかと思ったがどうやらそれは勘違いだったらしい。
仲間が危機に晒されればあいつは迷う事なく自分を犠牲にする、あいつの根底は変わってなかった…それが今回の事でハッキリと分かった。
──みんなには”迷惑”を掛けないわ!
懇願するユナの言葉が耳に残る。
”迷惑”とは思っていない、ただユナの”心配”をしているだけだ…いい加減”迷惑”と”心配”を履き違えるなよユナ──……