第23章 終焉を告ぐ島の歌声と堕ちる陰
『え、ルフィ…?』
「何だ?」
『いや、私歩けるから降ろして欲しいんだけど』
またしてもルフィに担がれたユナは抗議の声を上げる。
「ダメだ、そんな怪我してるなら早くチョッパーに診て貰わねェと!」
『歩くのに支障は無いし大丈夫よ、問題無いわ』
「ダメなもんはダメだ…お前にもしもの事があったらエースが悲しむからな!」
あぁ成る程、ルフィもエースが大好きなんだ、そりゃそうよね…大切な人の悲しい顔なんて見たく無いもの。
『大丈夫よルフィ、ルフィにもエースにも迷惑は掛けないわ』
「…お前バカか?」
『ば……』
唐突な罵倒にユナは目を丸くした。
「おれもエースも迷惑なんて思ってねェよ」
『………』
「それにユナは大事な”仲間”だからな、仲間が傷付くのはおれは嫌だ」
『……ルフィ、分かってると思うけど私は居候よ』
「でも今は”仲間”だ!」
『…っ』
ユナにとって”その言葉”がどう言う意味になるのか、何も知らない真っ直ぐなルフィの言葉にユナは何も返せない。
何時もならそんな事ない、ただの居候だと直ぐ返せるのに…何故かルフィには言えなかった。
押し黙るユナを気にも留めずルフィは巨大になった食糧袋を持つと、ズルズル引き摺りながら足早でその場を後にしたのだった。