第23章 終焉を告ぐ島の歌声と堕ちる陰
豪雷轟く空からエネルはアッパーヤードを見下ろす。その中でジャイアントジャックを登る二つの人影が目に付いた。
「まだ歯向かうか…だが貴様らがここに辿り着く事はない」
既に”大鐘楼”を手に入れたエネルは、空に手を掲げる。すると直ぐに空に小さな黒い球体が出現し、それは瞬く間に空を覆う程にまでに膨れ上がった。
ルフィに担がれているユナは突如感じた不穏な空気に空を見やる。
そこには巨大な黒い球体が一つ。
あれは──雷雲の塊か、あんなものを落とされたら空島は本当に終わるだろう…エネルは今度こそ決着を付ける気だ…!
『ルフィ私飛んで行くわ、だから離して…!』
「このままでいい!」
『でも──』
「あいつが…ゾロがあんな風に言うのは珍しいからな、お前結構無理してんじゃねェのか…!」
”こいつもひでェ怪我してんだから途中まではてめェで行け”
ゾロが言った言葉だ。
『…無理なんてしてないわ! 私なら大丈夫よ、あとゾロはこう言う意味で言ったんじゃ──』
「それにおれに雷は効かないからこっちの方が安全だ、ろ!」
向かって来る雷を弾きながらスピードを落とす事なくルフィは走る。
確かにルフィに雷は効かないが片手に私を担ぎ、もう片方では巨大な黄金を引き摺ってる状態では両手は使えない。だから向かって来る雷を足や頭で弾いているがそれでは効率が悪いだろう。
私が飛べば片手が使える、その方がスピードも出せるのに。
”死んでもユナは守る事”
出発前にナミがルフィに言った事をルフィは真に受けているのだろうか……私なんて守らなくていい、”守られる価値”なんて私には無いのだから──