第21章 決死のダイブ
ルフィが居なくなりエネルは嗤う。
「ヤハハハ…流石に堪えた…だがこれが結論」
玉座に腰を下ろしたエネルは睨むユナ達を見下ろした。
「どうした、せっかく生き永らえたのだ…至らぬ者達など切り捨てろ…貴様らとて先に望む未来もあろう…」
望む未来。
勿論ある、今ではもう叶わない望みもある。
だがこのままエネルと居たところでその先に望む未来など無いに等しい。
脚に力を入れゆっくり立ち上がるユナの横でナミが突然ごめんと呟いた。
それだけで理解出来た。大丈夫、元々自分もエネルと一緒にいる事は更々望んではいない。
返事の代わりにふわりと笑って応えればナミは困った様に笑った、そしてエネルに向き直る。
「望むものを1人で手に入れて何が楽しいの?」
スッとエネルから表情が無くなった。
「ほんとは…‼︎ やりたい事も欲しい物も…たくさんあるけど…このままあいつらを捨ててあんたと一緒に行くくらいなら‼︎ 私もう‼︎ 何もいらない‼︎」
ナミの叫びにエネルの目がギラリと光る。
「命もだな」
「…っ!」
『ナミっ‼︎』
一直線に飛んで来た雷にユナが咄嗟にナミを突き飛ばしそれを回避する。
「最後に言いたい事はそれだけか?」
次の攻撃に備え臨戦態勢をとるユナとナミにエネルは鼻を鳴らした。
「やるつもりか? 私には勝てぬと言うのに…特にそこの”小娘”は分かってるはずだ。あの妙な力を使っても私は倒せぬと」
「それでもやると言うのなら今度は容赦はしないぞ…」
『──私も言った筈よ…人は見た目で判断しない事。もう忘れたの? ”エネル君”』
「……どうやら余程死にたいらしいな」
玉座から立ち上がり一歩、また一歩とエネルは二人に近付く。