第19章 キミとの約束(後編)
静まり返った通路をエースは月明かりを頼りに足を進める。
暫く他愛も無い話をしていたがふと会話が途切れ静寂が二人を支配する、会話は無いが何処となく心地良い空気にユナは瞳を閉じた。実は夢見が悪くエースを探していたユナだったが、一定リズムで伝わる振動とエースの心音がユナを安心させ眠りへと誘う。
いつ迄もこのままでいられたら幸せなのに……そんな事を考えながらユナは襲い来る睡魔に身を委ねた。
「……そういやユナに聞きたい事が──」
ふと思い出しエースがユナを見やればユナは静かに寝息を立てていた。その寝顔を見てエースはふっと肩の力が抜ける。
「…ま、どーでもいいか」
きっと無理をしてたに違いない、エースはユナが起きないようにゆっくりと足を運ぶのだった。
───……
──なァ親父…ユナって一体いくつなんだ?
見た目は16くらいだが話を聞く限りそれ以上だろう…部屋を出る前エースが白ひげに尋ねれば暫しの沈黙の後、白ひげは意味あり気に笑った。
「…まァ、あンまガキ扱いしてやんなよ」
「どーゆう意味だよ…?」
「そーゆう意味だ」
結局親父はそれ以上教えてはくれなかった。まァ歳なんてどうでもいいかと、気にしなかったエースがユナの歳を知る事になるのはまだまだ先の話。
───……
沈む夕陽を眺めながら物思いに耽っていたエースは前方に島を確認するとストライカーのスピードを上げた。
「──とっととティーチのヤツを見付けてお姫様を迎えに行かねェとな」
約束の為、ケジメの為、エースは朱く染まった大海原を駆けて行くのだった──。