第18章 キミとの約束(前編)
「今頃ユナは楽しくやってっかなァ」
風を切り水飛沫を上げながらエースは呟いた。
今エースはティーチが向かったと思われる島に向けてストライカーを走らせている、途中半ば強引に預けてきた少女を想いエースは空を仰いだ。
ここ数年自分にベッタリだった少女が居なくなり若干寂しさもあるが”用事”が終わればまた一緒にいられる、それに今は弟の所に居るのだ…何も心配はいらない。
仰いだ空は夕陽が傾き空を朱く染めていた…それはまるであの日のようだなとエースは独り言ちた。
──そう、今でも忘れる事のないあの日のようだった。
これは数年前──、エースとユナが出逢ってから数ヶ月経ったある日の出来事…。