Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第6章 なまリクII♡millieさまリクエスト
そんなこんなで連れて来られた成人式会場。
見渡せば、あちらこちらに懐かしい顔があって、嬉しくなっちゃう♪
女の子は、お化粧してたりして、ちょっと正体不明の人もいるけどね。
「あ、あれ翔さんじゃね?」
「あ、ほんとだァ。翔くん、こっちこっち」
「おお、悪ぃ遅くなった…。ちょっと着付けに時間かかってさ…」
そう言って笑った翔くんは、赤の羽織袴姿で…
ちょっとだけドキッとしちゃう。
「よし、これで全員揃ったな? じゃあ記念写真でも撮っとく?」
先に会場に来ていたパパさんがカメラを構える。
「なんか思い出すな…。小学校の入学式覚えてる? 小さな背中にさ、今着てる羽織と同じ色のランドセル背負ってさ…。可愛かったよな、皆…。それがこんなに大きくなっちゃって…」
色違いの羽織袴姿でカメラに向かってポーズを取る僕達を見て、パパさんがしみじみ言う。
「ねぇ、パパさん? それってさ、今は可愛くないってこと?」
もぉ、酷いんだからぁ…
「あ、パパさんも一緒に入りなよ。そしたら五色揃うでしょ?」
「お、俺はいいよ…。主役は君達なんだからさ…」
「いいからいいから、ほら入って?」
苦笑いをするパパさんを、黄色の羽織袴姿の和が引っ張る。
「パパさん真ん中ね?」
照れるパパさんを真ん中に、赤、青、緑、黄、紫の五色が並ぶ。
因みに、パパさんが着ている緑のジャケットは、僕達からのプレゼントだ。
和が言ってたから…
パパさんは色々事情があって成人式に出られなかった、って…
流石に羽織袴、ってわけにはいかないけど、気分だけでもと思ってね♪
「そろそろ中入んないと…」
「あ、ほんとだぁ」
辺りに人気が少なくなってきたのを見て、僕達は慌てて会場に駆け込んだ。
うーん…、袴って走りにくい…
会場に入った僕達は四人で並んで座った。
勿論僕のとなりは翔くんで、僕達の手はしっかり繋がれてる。
「ねぇ、なんか”かんちょう”しちゃうね?」
僕は翔くんの耳元に口を寄せると、周りを気にしながら小声で言った。
そしたらさ、翔くんたら…
「はあ? それを言うなら”きんちょう”だろ?」
って…、もしかして翔くん忘れてる?