Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
「あ〜あ、いっその事、僕女装でもしてこうかな? そしたらさ、余計な心配しなくてイイじゃん?」
目の前でサトくんがとんでもないことを言い出す。
でも…、
サトくんの女装、悪くないんだよな、コレが…
寧ろ似合い過ぎ、ってぐらい似合うんだけどさ…
ここはやっぱりそうじゃないよな?
「サトくんはそれで良いかもしれないけど、翔くんは喜ばないと思うよ?」
「やっぱり? 僕も実はそう思ってたりする…」
なんだ、ちゃんと分かってんじゃん…
って、当たり前か…翔くんとはもう20年来の関係だしな…
「何二人で頭突き合わせて難しい顔してんの?」
客の相手が忙しくなって、潤に一人放置状態にされた和が、コーヒーを手に俺達の座るテーブルを見下ろした。
「ん? いやさ、サトくんのお悩み相談、ってやつ、かな? ね、サトくん?」
「えっ、あ、うん。まぁそんなトコだ…」
突然フラれ、サトくんが困ったように頭をポリッと掻いた。
「ふーん、で、どんな悩み? 俺には言えないことなの?」
普段からあまり他人に興味を持たない和が、珍しく興味を示す。
ま、20年来の友達が悩んでる、ってなったら、それはそれで別なのかもね?
和が隣のテーブルの空いた椅子を引き寄せ、俺達は三人で一つのテーブルを囲んだ。