Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
雅紀side
「なるほどね?」
サトくんの悩みは、普通のカップルであれば、背中の一つでも叩いて“何を悩むことがある”と、笑い飛ばしてしまえることなんだろうけど、2人の場合はそうはいかない。
「で? サトくんはどしたいの?」
俺は暫く考えた後、グラスに残っていたアイスコーヒーを一気にストローで啜ると、目の前のサトくんを見つめた。
「どうしたいも何も…、僕”行く”って言っちゃったし…」
きっとサトくんのことだから、その場はちゃんと考えて答えを出したつもりでも、後になって不安になっちゃったんだよな…
その性格は、子供の頃からちっとも変わってない。
「だよね? だったら覚悟決めなきゃなんないんじゃないの? 少なくとも、翔君はそれなりの覚悟を決めてると思うけど?」
自分の恋人が“男”であることをカミングアウトするのは、それなりのリスクもある。
それを押してまで、サトくんを紹介しようと思う、ってことは、それ相応の覚悟も必要だ。
「分かってるよ。僕だって覚悟してないわけじゃないんだ。たださ…翔くんの恋人が“男”だ、ってなったらさ、やっぱりさ…」
自分のことより、翔くんの立場を考えた、ってことか…
翔くんが傷つくよりは、自分が傷ついた方がましだ、ってことだよな?