Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第4章 僕達の倦怠期
はあ、と翔くんが盛大なため息を一つ落とす。
そして頭を拭いていたタオルを首にかけると、ベッドの端っこにドカッと腰を下ろして、もう一度、今度は短く息を吐いた。
「あんなぁ、智…。俺別にお前のこと嫌いになったわけでも、飽きたわけでもないけど?」
えっ…、だって…
「ましてや浮気とか…ありえねぇし…」
「で、でも、さっきだって怒ったじゃんか…」
「別に怒ってないよ。たださ、お前が風邪ひいてもさ、看病してやれないだろ? 会社行かなきゃなんねぇし…。それに鍵だって、智一人の時に変な奴が入ってきたら困るだろ?」
それって…僕のこと心配して…?
僕のこと嫌になったからじゃなかったの?
「あーあ、一度お前に俺の頭ん中見せてやりたいよ…。これでもさ、一日中お前のことばっか考えてんだよ?」
「僕のこと…?」
うん、と頷いて、翔くんが自分の膝をポンポンと叩く。
僕にだけくれる”抱っこしてあげる”の合図だ。
僕はお布団の中で身体を少しだけずらすと、バスタオルを巻いただけの翔くんの膝に頭を乗せた。
「仕事しててもさ、”智は今頃何やってんだろ”ってな? バイト行ったかな? 飯は食ったかな? ってさ…」
僕と一緒だ…
僕もずっと翔くんのことばっかり考えてるから…
それなのにそんなことも知らずに僕ったら…
「ごめん…翔くん…、僕…」
僕は翔くんの腰に両腕を回すと、翔くんのちょっとだけポコッとしたお腹にギュッと抱き付いた。