Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第1章 僕達のちょっとした悩み
「あれ? 智来てたんだ?」
漸く店の片付けが終わった頃、和が仕事から帰ってきた。
なんだか疲れた顔してるな…
「仕事、忙しいんだって?」
「まあね? はぁ〜、疲れたぁ…。ねぇ、潤、コーヒー飲ませて?」
パパさんの店を通り過ぎ、潤のカフェへと入った和が、カウンターに鞄を置いて、ジャケットを脱いだ。
なんか痩せた?
元々体格のいい方ではないけど、更に細さを増したような…
「ねぇ、パパさん? 和、ちゃんと飯食ってる?」
店の照明を順番に落としていくパパさんの耳元に、コソッと耳打ちをする。
「いや〜、あんまりだね。ま、潤君が何かと世話焼いてくれてるから、安心はしてるけどね」
そう言ってパパさんは白衣を脱いで、代わりにジャケットを羽織った。
そっか、そうだよな…
和には潤が着いてるんだから、余計な心配だよな…
「そんなことより、サトくんはどうなの? 何か悩んでるんでしょ?」
「えっ、何で分かんの?」
「当たり前でしょ? 何年見て来たと思ってんの? 和と同じくらい、サトくんのことも見て来てるんだよ? 分かるに決まってんじゃん」
僕の考えてることなんて、全部お見通し、ってことか…
「やっぱパパさんには敵わないな」
僕は着替えを済ませたパパさんと、潤の店の一角のテーブル席に向き合って座った。