Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第36章 第36章 僕達の引越し協奏曲
家に帰った翔くんは、リビングで軽く仮眠を取ったあと、ちょっと前に準備してあった礼服一式を持って、再び車を走らせた。
僕も着いて行きたかったけど、智也くんとお留守番をすることにした。
翔くんの傍にいて上げた方が、翔くんにとっては良いのかもどけど、智也くんをつれてとなると、かえって邪魔になりそうだから。
翔くんからの連絡を待つ間、僕は智也くんのミルクやらオムツやらを、大きめのバッグに詰め込んだ。
勿論、僕の分の礼服一式も一緒に。
翔くんから連絡があったのは、それこら数時間後のことで…
僕は父ちゃんの運転で式場へと向かった。
式場といっても、団地内の集会所みたいな所で…
僕はこじんまりとさそて祭壇に飾られた写真を見上げ、勝手に流れた涙をそっと拭った。
でも智也くんは、写真に向かって手を伸ばしてみたり、笑いかけたりしてて…
「あんまり一緒にいる時間無かったみたいだけど、やっぱり分かるんだな、パパだって…」
「凄いね、こんなちっちゃいのに…」
なんだか切なくなると同時に、ちょっぴり悔しい気持ちにもなる。
だってさ、こんなにちっちゃくて可愛い智也くんから、病気のせいだとしても、パパが奪われたことが、僕は悔しくてたまらなかった。