Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第36章 第36章 僕達の引越し協奏曲
口には出さないけど、緊張してたんだと思う、僕以上に。
だってさ、いきなり「抱いてみる?」なんて言われたらさ、やっぱり緊張しちゃうよね?
「ほら、智ちゃん」
「は、は、はい…」
僕は震える手で城島先輩から智也くんを受け取ると、うっかり落っことさないよう、しっかり胸に抱いた。
「案外重たいだろ?」
「うん…、それに…、暑い…」
「そうなんよ、赤ん坊って暑いんよ…」
そう言って城島先輩は、元々クシャッとした顔を、更にクシャッとさせて笑った。
「ね、翔くんも抱っこして?」
「お、俺…か?」
俺か…って、俺以外に誰がいるってのよねぇ?
「あ、もしかして緊張してる?」
「お、俺は別に〝浣腸〟なんて…」
あーあ、翔くんてば、よっぽど緊張してるんだね?
だって、〝浣腸〟なんて…、ププッ(笑)
「ほら、智也くんだってパパに抱っこして欲しいって言ってるよ?」
「そ、そんなこと…、そう…か?」
あーあ、パパって言われた途端、デレ〜っとしちゃってさ(笑)
ほんと、単純なんだから。
僕は智也くんを、そーっと翔くんの腕に移動させると、ポッケからスマホを取り出し、気持ち悪いくらいデレ顔の翔くんと、バッチリお目々で翔くんを見る智也くんをパチリとした。