Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第36章 第36章 僕達の引越し協奏曲
「俺思うんだけど…」と、少しの沈黙の後、翔くんが口を開いた。
「男だからとか女だからとか、別に拘んなくて良いんじゃないか? ほら、今は何かと多様性が求められる時代だし…」
確かに、世の中には僕達のように、同性のカップルだって沢山いるし、その中には子供のいるカップルだっている。
だから翔くんの言ってることは、僕にだって理解は出来る。
「勿論、智の不安だって分かる。俺だって、もし俺達の元へ来たことで、辛い思いさせるかもって、心配はある。けどさ…」
翔くんが僕の髪を撫でながら、いつになく優しい笑顔で僕を覗き込む。
「なんの確証もないけど、智となら大丈夫っておもえるっつーか…。そ、それに、俺らだけで無理な時は、潤だって和たって、それから雅紀パパだっているし…」
そっか…、そうだよね?
僕達にはまだ、頼りになる親だっているし、一緒に悩んで考えてくれる友達だっている。
支えてくれる人だっている。
血は繋がってなくても〝親〟になるんだから、当然それなりの責任を負うことにはなるんだろうけど…
「翔くん…」
「ん?」
「僕、ママになれるかな?」
「なれるよ、智なら」
「そっか…」
きっと、良いママにはなれないかもだし、失敗ばっかしちゃうだろうけどね。