Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第36章 第36章 僕達の引越し協奏曲
「本当になれるのかな…、僕達に…」
翔くんの父ちゃんみたいに、誰にでも自慢出来るような立派なパパや、僕の母ちゃんみたいに、何が起きてもドンと構えてられるような強いママに、僕達もなれるのかな?
「うーん、それは無理…っつーか、実際俺も智も、これまで〝親〟なんてやったことないし、分かんないってのが正直な気持ちかな」
そっか、そうだよね…
そんなの誰にも分かんないことだよね…
「翔くんは、赤ちゃん欲しい?」
「欲しいか欲しくないかで言ったら…」
「うん…」
僕の喉がゴクリと鳴る。
「本音言うと、前はさ、智が冗談で〝赤ちゃん欲しい〟って言う度に、ちょっと寂しい気持ちになった…っつーか…、申し訳ないな…って、思ったりしてたんだよね」
「何で、どうして?」
今までそんなこと一言も言わなかったし、そんな仕草だって見せなかったじゃん…
「当たり前の事なんだけどさ、もし俺が普通に女だったら…とか、考えちゃったりしてさ…」
知らなかった。
翔くんがそんな事考えてたなんて…
でも…
「でもさ、それって翔くんに限った事じゃないじゃん? 僕だって…」
そう、僕だって何度も想像したことがある。
もし、僕が男の子じゃなくて、女の子だったら、翔くんとの間に赤ちゃんを作ることが出来たかもって…
でも現実的に無理じゃん?