Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第36章 第36章 僕達の引越し協奏曲
「あ、あの…、少しだけ考える時間貰っても良いですか?」
無理なことは十分承知してても、それでも僕はいつか赤ちゃんが欲しいって願ってた。
だから、本当なら迷うことなく「うん」と言いたいよ。
けどさ、こんな形で…ってなると、やっぱり受け入れるまでの時間は少なからず欲しかったりする。
「あんまり長くは待てへんかもしれんけど、良いかな?」
「はい…」
僕が頷くと、城島先輩は再びベッドに身体を横たえ、少しだけ苦しそうに息を吐き出した。
「智、悪いけど外、行っといてくれる?」
「あ、え、ああ、うん…」
二人は随分前からの知り合いだし、僕がいたら出来ないお話もきっとあるんだろうね…
僕は静かに廊下に出ると、途中のコンビニで翔くんに買って貰ったペットボトルジュースのキャップを開けた。
少しだけ温(ぬる)くなってたけど、乾いた喉を潤すのには丁度良い。
「はぁ…」
僕は壁を背にしてその場にしゃがみ込むと、窓から見える空に向かって、盛大なため息を落とした。
何だか、急な引越しやら何やらもあって、漸く一段落着けるかと思ってたとこにこれだもんな…
決して悪い話しではないし、寧ろ僕にとっては有り難い話ではあるけど、でもさ…