Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第36章 第36章 僕達の引越し協奏曲
「あのさ、それ飲んだら、付き合って欲しいとこあるんだけど…」
「え、良いけど…」
本当はさ、翔くんの有給期間中に、引っ越し荷物の片付けしちゃいたかったんだけど…
仕方ないか…
「どこ行くの?」
「うーん…、とりあえず秘密、かな」
秘密って…、え?
隠し事は無しで…って約束だった筈なんだけど?
まあ…実際、お家のことだって内緒だったわけだし、今更なんだけどさ…
コーヒーを飲み終え、着替えを済ませた僕は、翔くんが待つ車の助手席に乗り込んだ。
住み慣れた土地だし、目新しい景色なんて殆ど無いけど、新しいお家から出ただけで、不思議と違って見えちゃう。
「ねぇ、どこ行くの?」
僕はもう一度同じ質問を、ハンドルを握る翔くんに投げかけた。
「秘密って言っただろ?」
「でも気になるんだもん」
「そうだな…、お前さ、俺の大学時代の先輩で、城島さんめ覚えてる?」
「うん…、確か関西弁の人でしょ?」
翔くんの大学に遊びに行った時に紹介されて、その後何度か会ったこともあるけど、そこまで親しくは…ないかも。
「その城島さんがどうかした?」
「なんつーか…、まあ、この先は着いてからな?」
えー、ここまで言っといて内緒とか、どんだけもったいぶるわけ?