Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第36章 第36章 僕達の引越し協奏曲
流石プロっていうか…
引っ越し屋のお兄さん達は、僕達が何日もかけて構築したダンボールジャングルを、あっという間に更地に変えてしまった。
「最終確認お願いします」
言われて、伽藍堂になってしまった部屋を見回していると、翔くんと一緒に住み始めた頃のことが、まるで走馬灯のように頭の中を駆け巡ってきて…
「この部屋、こんなに広かったんだね」
荷物(ほぼ翔くんの物だけど)で溢れてしまってたから、この部屋が思った以上に広かったこと、すっかり忘れてた。
「色んなこと、あったよね…」
喧嘩もしたけど、いっぱい笑って、いっぱいエッチもして…
沢山の思い出が詰まった部屋を見ていると、急に目頭が熱くなって来る。
なのにさ…、翔くんたらさ…
「おーい、早くしないと置いてくぞ」
なんてさ…、思い出に浸る時間すらくれないんだもんな…
分かるよ?
お互い明日も仕事あるし、今日のうちにある程度済ませておかなきゃいけないのはさ、分かるんだけどもね?
少しくらい…って思っちゃうのは、僕の我儘なの?
僕は引っ越し屋さんのお兄さんに、すぐ行くからと伝えてから、しっかり靴まで履いていた翔くんの腕を引っ張った。
「ちょっと来て」って。