Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第3章 僕達のみっちょん♡
久しぶりの運転(しかも、片手…)に不安を感じながらも、目的地に辿り着いた俺は、先に車を降りて、助手席側に回った。
「着いたぞ」
ドアを開け、声をかけると、智が一瞬身体を震わせる。
しまった…、上着忘れたわ…
後悔したって仕方ない。
智の手を引いて車から下ろすと、足元を確かめながら、店の自動ドアをくぐった。
つか、お前…よぼよぼのじいちゃんみたくなってるけど…
まあ、見えてないんだから仕方ないよな。
「アレ…?」
店に入るなり、智が鼻をクンクン鳴らす。
「この匂いって…」
おっ、流石はスイーツ男子。
甘い匂いには瞬時に反応するようだ。
「ねぇ、パパさんのお店なの? コーヒーの匂いもするし…。そうでしょ?」
目隠しされてる分、音や匂いに敏感になってるんだろうな…
「だったら?」
あー、俺も大概意地が悪いな…
「だったら、目隠しいらないじゃん。外してよ…」
それもそうなんだけどさ…
潤からの合図がないと、俺にはどうしてやることも出来ないんだよな…
「もう少しだけ我慢して? 後で思う存分ケーキ食わせてやるから、な?」
「ホントに? ケーキ沢山食べちゃっていいの?」
「勿論。だから、我慢出来るよな?」
「約束だよ?」
「うん、約束だ」
「じゃあ、もうちょっとだけ我慢する」
…って、お前のその単純なとこ、俺やっぱ好きだな。