Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第3章 僕達のみっちょん♡
「どうした? さっきからずっと黙りこくってるけど…」
翔くんが僕の手錠に繋がれた手を握る。
でも目隠しされて見えないからかな…
僕ってばビクってしちゃって…
「なに、怖い?」
「うん、ちょっとだけ…」
だって、触れた手は確かに翔くんの手なんだけど…それは分かるんだけど、顔が見えないのって、すっごく不安なんだ。
「だよな…。もうちょっとで着くから、それまで我慢な?」
信号待ちになったのか、それまで揺れてた車が動きを止めて、翔くんの手が僕の髪を撫でた。
「うん。分かった…」
僕が頷くと同時に、車がゆっくりとまた動き始めた。
でも翔くんの手は、僕の手に重なったままだ。
出来れば、ちゃんとハンドル握ってて欲しいんだけどね?
ほら、翔くんの運転てさ、けっこう信用出来ないから…
「着いたぞ」
車が止まって、翔くんが助手席のドアを開ける。
「寒っ…」
もうこんなの嵌められちゃったせいで、コート着てくるの忘れちゃったよ…
「足元気を付けろよ?」
心配するくらいなら、目隠し外してくれたっていいのに…
僕はまるで介護されてるおじいちゃんみたく、翔くんに手を引かれて、(多分だけど…)自動ドアをくぐった。
「アレ…?」
「どした?」
「ううん、この匂いって…」
生クリームの甘い匂いと、コーヒーの香ばしい匂いが、僕の鼻先を擽った。