Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第34章 俺達のちょっと大胆な夜
苦労の末出来上がったカニクリームコロッケを、二人でなんとも言えない表情で見下ろす。
「やっぱさ、一応“見た目”も大事…だよね?」
「…うん。翔くんみたいに、“口に入っちゃえば、全部同じ”って人なら良いけど…」
酷っ…、と思いながらも、実際翔ちゃんてそういうとこあるから、嘘でも庇えない俺…
「どうする? 諦める? 」
「うーん…、どうしようか…」
聞かれて、本気で悩む俺。
カニクリームコロッケなんかなくたって十分俺の気持ちは伝わるだろうし、生姜焼きだけなら、俺一人でもなんとかまともなモンが作れる(多分…だけど)自信はある。
でもやっぱりせっかくの誕生日だし、下手くそでも、笑われたって良いから、潤が好きな物を作って上げたい。
「あの…さ、もう少しだけダメ…かな?」
「んふ、そう言うと思ったぁ♪ まだ材料あるし、もうちょっとだけ頑張っちゃう?」
「うん!」
「あ、でもね、一つだけお願いがあるんだけどぉ…」
身長なんてそんなに変わんないくせに、上目遣いで俺を見てくる智。
こういう時の智って、大抵何か企んでることが多いんだけど…
「あのね、失敗作のカニクリームコロッケ、貰ってもいい?」
なんだ、そんなことか(笑)
「うん、全然良いよ。寧ろ貰ってくれないと困る(笑)」
「ふふ、確かに(笑)」
やっぱさ、持つべき物は、料理好き女子力高め男子と、美的センス薄めの友達だよね(笑)