Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第33章 俺らの疑問と秘密
潤の車でマンション下へと帰り着いた俺は、潤の車が角を曲がるまで見送った。
毎度のことだが、潤は角を曲がる間際に、ブレーキランプを3回点滅する。
どっかの歌詞みたいで、つい笑ってしまう。
「しかし暑いな…」
車を降りてから、まだ数分も経っていないのに、首筋はもう汗ばんでいる。
俺は足早にマンションのエントランスを抜けると、空調設備の整備が整わないエレベーターに乗り込み、上階へと上がった。
ムアッとした空気から解放され、部屋の前に立った俺は、ふと電気メーターに視線を向けた。
「あれ…?」
俺、電気消して出た筈なんだけど…
秒刻みで増えて行く数字に首を傾げつつ、鍵を差し込むと…
「あ…れ…?」
俺が鍵をかけ忘れる…ってことは、まずありえない。
…ってことは…?
「いや待てよ?」
俺が聞いてた予定だと、智の帰りは夕方過ぎだったような…
「智…? 帰ってるのか?」
玄関ドアを開け、声をかけてみる…けど、返事はない。
でもこの脱ぎ散らかされたギョサンは…智のだよな…
「…ったく、仕方ねぇな…」
俺は智のお気に入りのギョサンを、玄関の脇に揃えて置くと、なるべく足音を立てないように、リビングのドアを開けた。
いつもなら飛びかかって来る勢いの智が、返事一つもしないってことは、恐らく“お昼寝”の真っ最中だからな(笑)