Wonderful Life〜素晴らしき日常〜【気象系BL】
第33章 俺らの疑問と秘密
「送るよ」
着替えを済ませ、バスルームから出た俺に、しっかり身なりを整えた潤が、まるで待っていたかのように言った。
「ああ、悪いな…」
本当は断ろうかとも思った。
でもこの暑い最中、何分も歩く気にはなれないし、第一ここがどこだかも良く分からないとなったら、潤の申し出を有難く受けるしかない。
俺は潤の後ろをトボトホと着いて部屋を出ると、キャップを目深に被った。
潤はそんな俺の姿を見て、小さく笑いを零すと、ポケットに引っ掛けてあった、色の濃いサングラスをかけた。
「芸能人かよ(笑)」
「翔さんだって…(笑)」
お互い顔を見合わせることなく笑い合う。
「少しは頭スッキリしたか?」
「ん? なんの話し?」
「お前なあ…」
「嘘うそ、冗談だよ…。もうしないから…」
「当たり前だ、バーカ」
「バカはないでしょ、バカは…。俺、けっこう真剣だったんだから…」
分かってるよ…、分かってるからこそ、絶対無理と思いながらも、応えようとしたんだし…
「あ、くれぐれもこのことは智には…」
「分かってるって…。俺だって、もしこのことが智に知られたら、どんな反撃受けるか分かったもんじゃないし…」
「それもそうだな(笑)」
狭いエレベーターの中で、声を上げて笑い合う俺ら…
うん、やっぱり俺らの距離って、これくらいが丁度良いのかもしれない。